富山・いのちの教育研究会

inochi2.exblog.jp

「生きる」とはどういうことか、大人と子どもが一緒に考えるサイトです。

城山中学校 指定研究

話題提供  テーマ 
 「いのちの大切さを学ばせる体験教育」
     
   話題提供講師 松田康子教諭 (富山市立城山中学校研究主任)
松田です。学校では研修を担当している。今回の文科省の指定を受けて稲葉先生には、教職員研修会の講師をお願いしたり、公開授業にも参観していただいたりし、感謝している。今日はこうした経緯もあり、お話の機会を頂いた。
 本校の1年間の教育活動をご紹介したい。皆さんのご意見などもお聞きして、これからの学校の教育に生かしていきたいのでよろしくお願いしたい。
資料のカラー刷りのものは11月18日に行った公開授業の時のものである。子供たちは命の大切さについて頭では分かっているが、それを実感する場面や深く考えるチャンスが学校生活の中でどのくらいあるか。私たちは今までの教育活動をいくつかの視点に分け位置づけ、実践することにした。
 資料にあるように、いのちについて伝え理解させたいことを3つにまとめ、①個体としてのいのち、いのちは有限であること、②種としてのいのち、連続していくこと、③心としてのいのち、無限であること、とした。
さらに、このことを子供たちに伝えるために4つの視点を設けた。
 一つはいのちを見つめる(感じる、知る)。具体的にはいのちそのものの、そしてその大切さについて道徳や教科の授業、いのちの授業を通して学び見つめるという視点である。
 二つ目は、いのちを育てる(維持する、世話する、守る)。自分のいのちを危険なことから守るために必要な知識や技術、そして人や物との関係、また、芸術に触れるなどの感性を育むことである。
 三つ目の視点は、いのちを使う(使命)。自分のいのちを自分のためだけではなく、人や社会のためにも役立てようという志を育てることである。
 四つ目として、これらを大きく包むものとして、いのちをつなぐ。心や考え方を次の世代へ引き継ごうということである。
 そしてそれぞれの視点でどのような活動が位置づけられているかは、資料2ページの、「いのちの教育の指導計画」にある。黄色で表した箇所が四つの視点である。「見つめる」には道徳や教科、いのちの授業。「育てる」のところではいろいろな活動が位置づけてあるのだが、交通、防犯、食育、健康、環境、福祉、食と健康、芸術鑑賞などを全部まとめて「育てる」として捉えた。
 「使う」というところではボランティアの部分が大きい。地域の清掃ボランティア、14歳の挑戦などを位置づけた。

< スクリーンで映像 >
 このあとは、スクリーンを見ていただきながら進めていく。先ず、本校の1年間の行事と合わせて、先ほどからの活動なども紹介したい。
 画面・・・校舎の前景、城山の由来、自立・共生・貢献が本校のキーワード、これをいのちの教育で支える、346名の生徒数、富山健康パークで仲間と協力して活動する体験(2年目で効果が出ている。生徒の感想文にも見られる。)、生徒会活動、交通安全教室、環境委員会主催のボランティア活動、奉仕委員会主催の中国の地震の支援募金、3年の修学旅行、2年の宿泊学習、八尾署から任命されたサイクルリーダーによる自転車の交通安全の呼びかけ、青空給食、2年生のすくすくタイム(総合的な学習の時間で、1年は環境、2年は福祉、3年は食と健康がテーマ)の活動、2年生は盲導犬と共に生きる宮本さんから学ぶ、春季大会の生徒会による壮行会、避難訓練、心温まるエピソード集会(自分自身のプラス体験を発表する。)、部活動集会での部活動ごとに集まり学年の枠を越えた話し合い、ことばの教室での学年別朗読会(昨年は大島絵本館の方の講演)、夏休みの千里駅のボランティア美化活動、ピロティの美化活動、養護学校との交流、ボランティア除草活動、グリーンサポーター(鉢の水やりボランティア)の任命式、吹奏楽部のふれあいコンサート、14歳の挑戦の事前学習、ボランティア講座、歯の健康教室、学年ごとのいのちの授業(1年生は3クラスそれぞれに太田友恵さんにお願い、3年生はアウシュビッツについての話、2年生は看護師の仕事)、1学年の校外学習(いのちの塔の募金など)、胡弓演奏による芸術教室、公開授業、3年の技術・家庭科(家庭分野)の保育の体験活動の様子(助産婦による講演、赤ちゃんとの触れ合い活動)、赤ちゃんとの触れ合い活動のシェア、自分自身の名前の由来、上野動物園元園長の講演、服育(着こなしなど学年別に)、難病者支援活動、人生の先輩の講演、保育所で班別活動、専門医による運動部向けトレーニングの話。スクリーンで今紹介した様々な活動でどのような成果が得られたかを別資料の教師や生徒からのアンケート(3月に、過去2カ年間をまとめて回答を得たもの)から見てみたい。
 教師アンケートから、生徒が変わったと感じた点は、穏やかに生活できるようになったこと。大変感覚的なものだがそのように感じている先生は多い。いろいろなことに協力できる、学習態度にも落ち着きが見られる、自分なりの考えを書いて発表できるなど。また、生徒の「いのち」についての感想は、今までの「いのち」の体験学習と結びつけて書く生徒が昨年の調査よりも多くなった。また、本校ではペアや4,5人グループのシェアをいろいろな授業の中で行うように心がけてきている。そのような学びの場面を意識して行ってきた結果、意見交換が比較的抵抗なくできるようになった。ボランティア活動や環境を良くする活動に参加する生徒が増えたと感じている。
 自分自身が学んだと思ったことは、先ずいのちを大きく捉えるようになったこと。学び合う研究授業を深めていく大切さや、生きる力を育むことが大事だということ、シェアリングは繰り返して行くことで子供の信頼関係や自己有用感につながるのではないかということは、本校の教員自身が感じている。
 シェアリングやグループ活動は、いのちと直接的ではないかもしれないが、大きく捉えると人と人とが関わり合うということで、大事なスタートだと思う。生徒に活気が見られ、教え合い学び合う姿を多く見るようになった。また、いろいろな方に講演をしていただいていろいろな価値観や経験を理解させることができた。講演をされたあの先生のような生き方がしたいという目標をもたせることにもつながった。
 資料の4,5ページには生徒自身が考えたことが挙げてある。4ページはこの1年間の学習で心に残っていることでは、例えば1番目は川渕映子先生のボランティア講座、2番目は太田友恵先生の弟から肝臓をもらってつなぐいのちについて。この子供の感想は、気持ちをうまく表現したものであると感じた。3番目は上野動物園の元園長中川志郎先生の講演について、象の飼育係の方が大好きな象のために自分のいのちを削ってまで世話をするという場面の話について。4番目は盲導犬とともに生きる宮本さんの講演について、人の温かみを知って感謝し自分を見つめなおせば、自分を変えることができるようになったという感想。5番目は、これまでの学習でいろいろな角度からいのちを見つめること、いのちは生きるための輝きに満ちたものだという感想。6番目は、名前についての学年集会、3年生の赤ちゃんとのふれあい活動の体験が印象に残ったという感想。誰もが大切にされる存在なのだ、と書いている。最後の5ページ目は「いのちとはどんなものだろう」という大きな問いについての、子供たちなりの回答である。この見つめる、育てるという視点は、私たちが分類したものである。「いのちとは、たった一つしか存在しない。大切にしたい」「生んでくれた母親に感謝しながら」「たくさんのいのちが支え、支えられて生きている」「たくさんの人の愛情や優しさなどの気持ちと結ばれている」「いのちを大切にできないということは自分を大切にできない」「たくさんの人に愛されているこの貰った命をどのように使うか」「たくさんの人を支えて生きたいなあ」「いのちとはその人の生き方を示すものだ。正しいいのちの使い方だと感じたのは自分のいのちを独り占めにせず自分以外の人に使うこと」「このいのちを次の代に受け継ぐことが私の一生の仕事」「人間として生きていくための知識や知恵を学び、それを次の世代に引き継いで行くのがいのち」「いのちは自分だけのものではなく、親がつくってくれたいのち」「いのちはつながりのなかにあり、つながりをつくっていくもの、いのちをつないで行くために先ずは自分自身がいのちをたいせつにする」「私達が生れてきたいのちは奇跡で、このいのちを無駄にすることがないように」
 これらの子供たちの言葉が、この2年間の中でいろいろな方から講演をして頂いたり、いろいろな活動をしてきた中で生まれた言葉であることを大変嬉しく思っている。まだまだ課題もたくさんあり、これを毎年続けて行くためにはどのようにしたら良いかも考えたい。
 以上の城山中学の活動を紹介した。今日このあとご参加の皆さんからご意見、感想など頂いて学校に持ち帰り参考にさせていただきたい。
[PR]
by toyama-inochi | 2009-03-06 17:42 | ~H24_講演の概要